HOME > 耳より情報 > ボツリヌス菌

耳より情報

ボツリヌス菌

<1歳未満の乳児に「はちみつ」をあたえてはいけません>という表示を目にしたことがあるでしょうか。1歳未満の乳児は腸内環境が未熟なため、はちみつにボツリヌス菌が混入していた場合、乳児ボツリヌス症を起こすことがあります。
ボツリヌス菌は、乾燥や熱に強い「芽胞(がほう)」を形成する菌で、海・川・湖や土壌に広く存在しています。芽胞は、低酸素状態に置かれると発芽、増殖し、極めて強い毒素を産生します。ボツリヌス症は、乳児ボツリヌス症とボツリヌス食中毒に分類されます。

乳児ボツリヌス症とは

症状は、便秘や哺乳力の低下、泣き声が小さくなる、全身の筋力低下などの症状がみられ、重症化すると呼吸困難に陥り死に至ることもあります。ボツリヌス菌は熱に強いため、はちみつを使った食品(菓子など)にも注意が必要です。主に育児をしているお母さん、お父さんだけでなく、祖父母や同居している家族などにも、乳児にはちみつを与えてはいけないことを伝えましょう。

ボツリヌス食中毒とは

ボツリヌス毒素が産生された食品を摂取後、8時間〜36時間で、吐き気、嘔吐や視力障害、言語障害などの神経症状があらわれるのが特徴で、重症例では呼吸麻痺により亡くなることもあります。
予防のポイントは、一般的な細菌と異なり、熱に強い芽胞のため、80℃30分間、100℃なら数分以上の加熱をしなければ完全に死滅しません。家庭で缶詰、真空パック、ビン詰め、「いずし」などを作る場合には、原材料を十分に洗浄し、加熱殺菌の温度や保存の方法に十分注意しないと危険です。真空パックや缶詰が膨張していたり、食品に異臭(酪酸臭)があるときには絶対に食べないでください。今年2月に、知人が自宅で調理した「アユのいずし」を食べた方のボツリヌス食中毒が報告されています。

これから梅雨から夏に向けて、気温の高い時期は食中毒のリスクが高まります。コロナ禍の中で、テイクアウトやデリバリーを利用する機会が多くなっていると思われます。調理してから食べるまでの時間が長くなりがちです。衛生管理を徹底し、食中毒にご注意ください。

*参考文献
厚生労働省「食中毒」、東京都福祉保健局「ボツリヌス菌 食品衛生の窓」

【石川医院通信 2022年5月・6月号より】

ページトップへ