『熱中症』は、高温多湿の環境に長くいることで起こってくる体調不良の総称です。熱中症の症状は多様で、めまい、立ちくらみ、筋肉痛、汗がとまらないといった日常的に経験するような軽いものから、意識消失、けいれんなどの重いものまであります。熱中症は外で活動する時間が長い人だけでなく、高齢者と体温調節機能が十分発達していない乳幼児は、屋内でも熱中症を起こすことがあります。
*スポーツ活動中の熱中症予防5か条
① 暑いとき、無理な運動は事故のもと
② 急な暑さに要注意
③ 失われる水と塩分を取り戻そう
④ 薄着スタイルでさわやかに
⑤ 体調不良は事故のもと
*熱中症予防の具体策
① 頭・頸部が直接日光に当たらないように帽子をかぶる
② 直射日光に当たる時間を短縮する
③ 事前に十分に水分をとる
④ 高温・多湿下で労働やスポーツをする場合水分とともに塩分を十分にとる
⑤ 各個人にあったトレーニング計画を立てる
⑥ 乳幼児や心疾患を有する高齢者、薬剤服用 中の人は温熱ストレスに弱いので注意する
*運動中の水分補給の目安
① 明確な補給量は示されていない
(発汗量の個人差、運動強度、環境により違う)
② 水分摂取の方法
1)5〜15°Cに冷やした水を用いる
2)飲みやすい組成にする
3)胃にたまりにくい組成にする(0.1〜0.2%の食塩と4〜8%の糖質を含んだもの)
③ 水分摂取の目安
体重減少が2%以内になるようにする
屋内は高温多湿にならないよう、エアコンを使って温度と湿度をコントロールします。環境省が推奨する冷房時のエアコン設定温度は28°Cですが、適温は湿度によって変わります。湿度60%なら25〜26°Cを目安にするとよいでしょう。休息を十分にとることも翌日の熱中症を防ぐ対策になります。水分摂取に関しては、治療により塩分やカロリー制限をしている場合もあり、かかりつけ医の指導の下おこなってください。
スポーツ活動における熱中症予防対策に暑さ指数(WBGT)が用いられます。①湿度②日射・輻射などの周辺の熱環境③気温の3つを取り入れた指標です。詳細は環境省の「熱中症予防サイト」でわかります
*参考文献:環境省「熱中症予防サイト」、東京都医師会「健康スポーツ医学研修会」
【石川医院通信 2017年7月・8月号より】