肺血栓塞栓症―あまり聞きなれない病気ですが、「エコノミークラス症候群』と聞くと、知っている人もいるでしょう。
エコノミークラス症候群は、航空機のエコノミークラスの乗客が長時間のフライトの後で発症したことからこの名がつけられました。長時間下肢を動かさないと下肢の深部にある静脈の血液の流れが悪くなり、血栓(血液のかたまり)ができます。血栓が血流に乗って肺に移動し、肺動脈を閉塞するのが肺血栓塞栓症です。飛行機だけでなく自家用車や長距離バス、電車でも起こり、「旅行者塞栓症」とも言われています。その他にも血栓ができやすい素因のある人、例えば寝たきり、肥満、妊娠や出産、手術や骨折、喫煙、糖尿病・・・なども危険因子となります。デスクワークでも起こりえます。
症状は血栓の大きさや閉塞している部位によって、無症状のものから、下肢の腫れ・痛み・むくみ、呼吸困難やショック状態といった命にかかわるものまでさまざまです。治療は薬物療法やカテーテル法などがありますが、この病気で重要なことは予防です。つまり血栓を作らないようにすること、下肢の静脈の流れを良くすることです。
肺血栓塞栓症を予防するポイントは
夏休みや休日などに旅行に行かれる方は、ちょっとした時間でできるので、是非ご家族やお友達にも声をかけてやってみてはいかがでしょうか。
参考文献 循環器と病気のしくみ 砂山 聡著 日本実業出版社
【石川医院通信 2016年7月・8月号より】